皮膚科

特色

富田林病院皮膚科は皮膚がんに特化した診療を行っています。
部長の中川浩一は日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医の資格を所持しています。
この資格は、日本全国の皮膚科専門医の中でも、特に皮膚がんの診断・治療において一定以上の実績を有する皮膚科医に与えられる資格で、全国で85名が登録されています(2019年4月現在)。
大阪府では6名が登録されていますが、大和川以南には富田林病院に2名在籍しています。
今後は、二人で協働して、大和川以南の皮膚がん治療に取り組んでいく所存ですのでよろしくお願いします。
なお、富田林病院では2016年度に104件、2017年度に104件、2018年度に91件の皮膚がん手術を行いました。


(日本皮膚科学会ホームページより
https://www.dermatol.or.jp/modules/spMap/doctors?pref=&tumor=1&sp=1&words=)

悪性黒色腫有棘細胞癌基底細胞癌パジェット病ボーエン病日光角化症悪性リンパ腫肉腫
8例14例31例3例24例21例2例1例

2016年4月から2017年3月までに手術治療を行った皮膚がん

悪性黒色腫有棘細胞癌基底細胞癌パジェット病ボーエン病日光角化症悪性リンパ腫
11例10例37例5例22例15例4例

2017年4月から2018年3月までに手術治療を行った皮膚がん

悪性黒色腫有棘細胞癌基底細胞癌パジェット病ボーエン病日光角化症肉腫その他
8例15例18例4例18例23例2例3例

2018年4月から2019年3月までに手術治療を行った皮膚がん

皮膚がんは言うまでもなく皮膚表面の病気です。
医師以外でもその病変の存在には気付くことができます。
皮膚がんを疑うかどうかがポイントになります。
皮膚がんは意外に痛みや痒みがないことがしばしばあります。
何か異常に気づいたらまずはかかりつけ医に相談してみてください。
どの“がん”でも言えることですが、早期発見・早期治療にまさるものはありません。
これは治癒の可能性を高めるだけでなく、治療の負担(治療の痛み、治療の期間、治療の費用)を減らすことにつながります。
特に富田林病院皮膚科は皮膚がん検診という活動も行っています。
何か、皮膚の異常を発見されたら皮膚がん検診に申し込んでください。
皮膚がん検診の詳細はこのページの最後に紹介します。

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皮膚がんについて

皮膚がんと言うと、皆様方は1種類の病気のように思ってらっしゃるかもしれません。
実は、上の表に書いたようにいくつかの種類があります。
病気によっては、放置すれば、急激に進行して命にかかわるようなものもありますが、年単位でゆっくり進行するようなものもあります。
また、進行はするけれども、体の他の部位に転移することは少ないものもあります。
それぞれのがんの特徴を理解して、たとえがんになったとしても、必要以上に怖がる必要はないのです。
それぞれのがんの特徴について紹介しましょう。

1.悪性黒色腫

突然ですが、最も悪性度の高い皮膚がんです。
メラノーマという名称で呼ばれています。
身体のどこにでもできますが、日本人の場合は特に足の裏に多いのが特徴です。
しかし、あまり知られていませんが、手足の爪の下や爪のまわりにできることもしばしばあります。
日本人の場合、悪性黒色腫は人口10万人あたり、年間1~2人ずつ発生すると言われています。
したがって、日本全体では毎年、1,000~2,000人の新規発生があるということになります。
この割合でいくと、富田林市(人口:約11.3万人)では年に1~2人は発生するということになります。
ところが、当科には年間5例以上の悪性黒色腫の患者さんが受診されます。
他の市町村から多数の患者さんが受診されています。

  • 足の裏の悪性黒色腫
    足の裏の悪性黒色腫
  • 爪の下の悪性黒色腫
    爪の下の悪性黒色腫
  • 背部の悪性黒色腫
    背部の悪性黒色腫

悪性黒色腫の治療は、手術です。
病変部にある悪性黒色腫細胞を完全に取り除ければ、治癒したと考えられるわけです。
最近は医学的知識が広く普及しており、たいていの患者さんは病期(病気の進行度)が低い段階で受診されるので、初回の手術で治る方の方が多いと思います。
ただ、がん細胞一つ一つまでは肉眼で見ることができないので、病変の周囲に離れて存在することもあり、念のために術後にインターフェロン(免疫を高める薬剤)を予防的に投与します。
ただ、残念なことに、最近の研究によれば、悪性黒色腫は病気の初期に他臓器に転移している可能性があると言われています。
したがって、手術で原発巣を完全に取り除いていたにも関わらず何年かの後に、患者さんの免疫力が低下した時に再発してくるケースもあります。
したがって、術後も定期的に検査をおこなってフォローアップする必要もありますし、患者さん自体も免疫力を高めるような食事や運動が重要と言えます。

悪性黒色腫の治療は、先に述べたように、手術による病巣の完全摘出です。
しかし、そのようにしても一部の患者さんの場合ですが再発や転移を生じます。
特に重要な臓器(肺や脳、肝臓など)に転移が生じると、数年前までは有効性の高い薬剤がありませんでした。
このような状態を打ち砕く画期的な薬剤が2014年7月に、世界に先駆けて日本で発売されたニボルマブ(商品名:オプジーボ)です。
多くの日本人がこの名前を知っていると思います。
そうです。
極端に薬価が高かったのです(1人の悪性黒色腫患者さんの治療に年間約3,500万円が必要)。
日本の健康保険制度を揺るがすことにもなりますので、厚生労働省は2017年2月から50%の減額にしたのは、記憶に新しいかもしれません。

さて、そのオプジーボですが、すべての患者さんに効くと言うわけではありませんが、約3人に1人は著効を示します。
下の写真は悪性黒色腫の肺転移のCT写真です。
3Dになっていますが、肋骨の裏側に3か所の転移病巣(ガンのかたまり)が映し出されています。
右の写真はオプジーボ投与後の写真ですが、転移病巣が完全に消えています。
こんなことは以前にはあり得ないことでした。
このオプジーボの発売が呼び水になったのかどうかは分かりませんが、ここ最近、悪性黒色腫に対する新薬が立て続けに発売されました。
現在、どのような状態の患者さんにどの薬剤を投与したらいいのかという研究がさかんに行われています。

  • オプジーボ投与前
    オプジーボ投与前
  • オプジーボ投与後
    オプジーボ投与後
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2.有棘細胞癌

他の診療科では扁平上皮癌と呼ばれていますが、皮膚科では昔から有棘細胞癌という名称が用いられています。
悪性黒色腫に次いで悪性度の高いがんですが、死亡率などははるかに低いと思います。
当科においても、過去10年間にわたってこの有棘細胞癌で亡くなった患者さんを経験していません。
体中のどこにでもできますが、特に紫外線によく当たる顔面や外傷をうけやすい四肢に多いようです。
たいていは1cm前後の肉色の塊といった病状を呈します。
ただ、まれに、よくここまでと思うほど大きくなってから来られる方もいらっしゃいます。
何度も言いますが、早期に受診されると、治療も簡単になりますし、患者さんの負担も小さくなります。
このがんも手術が第一選択の治療になります。
がん細胞の塊を完全に取り除いてしまえば、治療は完結します。
ただ、残念なことに、そのような治療を行っても、リンパ節や多臓器に転移してしまうこともまれにあります。
そうなると、抗がん剤を投与したり、放射線療法を併用することになります。

  • 頭の有棘細胞癌
    頭の有棘細胞癌
  • 鼻の有棘細胞癌
    鼻の有棘細胞癌
  • 下口唇の有棘細胞癌
    下口唇の有棘細胞癌
  • 足背の有棘細胞癌
    足背の有棘細胞癌
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3.基底細胞癌

悪性黒色腫や有棘細胞癌に比べると非常に頻度の高い癌です。
特に顔面に多く発生します。
つまり、紫外線が癌発生の大きな要因になっています。
臨床像はたいてい“黒いかたまり”と呼ばれるような形で、表面には蝋様光沢を有することが特徴的です。
顔面が好発部位なので発見されやすく、小さな病変で受診される方がほとんどです。
この癌は、他の臓器に転移することはほとんどなく、したがって命にかかわるということはありません。
ただ、局所破壊性に奥へ奥へと入っていくタイプがあり、例えば鼻翼に発生した場合は鼻の穴が3つになってしまう症例を経験したことがあります。
鼻周辺や眼の周辺にできた時は要注意ということです。

この癌の診断には特にダーモスコピーが有用です。
ダーモスコピーは2000年頃から本邦でも広く使われだした皮膚科医必携の診療器具です。
この器具は、皮膚の表面の色調だけでなく、皮膚の中にある、メラニン色素なども観察することが可能なのです。
つまり、スーパーマンのように透視ができるのです。
たとえば、下の皮膚病変見て下さい。

ダーモスコピー

  • ダーモスコピー診断ヵ所
  • ダーモスコピーの診断

左は通常のカメラの写真、つまり肉眼所見です。
たいていの皮膚科医なら、見た瞬間に老人性疣贅(脂漏性角化症)という良性の腫瘍と診断すると思います。
ところが、この病変をダーモスコピーを使って観察すると、右の写真のようになります。
黄色い点線で囲まれたところだけが青っぽいのがわかると思います。
large blue-gray ovoid nestsと呼ばれる基底細胞癌に特徴的な所見です。
このように、ダーモスコピーを用いることで、老人性疣贅の病変の一部に基底細胞癌の組織が証明されました。
このような症例は非常にまれですが、ダーモスコピーの有用性が発揮された症例と言えます。

今回の所見は、診断の一部で、他にも基底細胞癌特有の所見があり、それらを総合して診断にアプローチすることができます。

■その他の基底細胞癌
  • 左外眼角部の基底細胞癌
    左外眼角部の基底細胞癌
  • 左耳前部の基底細胞癌を摘出し、皮膚移植で治療した(術後8か月)
    左耳前部の基底細胞癌を摘出し、
    皮膚移植で治療した(術後8か月)
  • Aはホクロ、Bは規定細胞癌
    Aはホクロ、Bは基底細胞癌
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4.日光角化症

日光角化症は、その名の示す通り、長期にわたる紫外線暴露が原因となります。
顔面や手背など日光に暴露されやすい場所に赤くてざらざらした臨床像を呈します。
長年、農業や漁業に携わっていた方は要注意です。
病変は表皮内癌といって、皮膚の最も浅い部位のみにがん細胞があるので、この段階で転移したりすることはありません。
ただ、何もしないで放置してると、徐々に進行して先に書いた有棘細胞癌に進展し、それでも放置していると他臓器に転移してとりかえしのつかないことにもなります。
日光角化症の治療は、他のがん腫と同様に手術治療が基本でした。
ところが、2007年にベセルナクリームと言う抗がん剤の塗り薬が発売になりました。

ベセルナクリーム

このお薬は1日1回、就寝前に週3回塗ります(月・水・金 あるいは 火・木・土)。
4週間塗ることで日光角化症が治ってしまう症例もあります。
また、4週間の休薬期間の後、さらにもう4週間塗ることで治る場合もあります。
ただ、病変の厚みや表面の角質増殖の程度によっては効果が弱い場合もあり、有効率は60~70%と推定されています。

【著効例】
  • 日光角化症
    日光角化症
  • ベセルナ外用中強い炎症がおきている
    ベセルナ外用中
    強い炎症がおきている
  • 治療後3ヶ月日光角化症は消失
    治療後3ヶ月 日光角化症は消失

このように著効を示す場合もありますが、2クール塗っても治らない場合があり、手術治療と外用治療にどちらを選択するかは患者さんに選択してもらいます。
以下にそれぞれの治療法について特徴を示します。
もちろん、まずクリームで治療して、それでだめな時に手術と言う方法もあります。
どちらかと言えば、気の長い人はクリームがお勧めです。
ただ、認知症のある患者さんは、薬を塗り忘れたり薬をなくす可能性があり、さらには舐めたりすることもあり、お勧めできません。

  手術治療 ベセルナクリーム
方法 病変を切除し、場合によっては皮膚の移植を行います。 週に3回、就寝前にクリームを塗ります。
治療後 傷跡は残ります。 炎症後の色素沈着を残す場合があります。
外来・入院 場合によっては入院が必要。 自宅で塗ってもらいます。
確実性 ほぼ確実に治ります。 有効率は60~70%。
治療期間 1~2週間 1~3か月
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5.皮膚がんの診断

皮膚がんの診断は、まず、視診と触診です。
経験に照らして、多くのがんは視診だけで診断がつきます。
もちろん、がんかどうかがわからないこともあります。
そんな時は、先に紹介したダーモスコピーが非常に有用です。
その他、エコー検査やCT、MRIなども駆使して診断にいたることがあります。
しかし、最も重要な検査は病理検査です。
病変の一部を切り取って(小豆粒くらいです)、顕微鏡で観察します。
顕微鏡では、病変の元となってる細胞の形態や、その集合様式までもがわかります。
こうすることで正しい診断に至ることが多いです。
ただ、どうしても小さな傷が残ってしまいますが、これは仕方がないと考えています。

皮膚がんの診断
トレパンと言う器具です。
麻酔をした後、円形に病変をくり抜きます。
摘出したサンプルを病理検査に提出します。
顕微鏡で観察します。

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6.皮膚がん検診

当科では2005年11月から富田林市を中心に南河内地区の地域住民を対象とした“皮膚がん検診”をはじめました。
検診日は毎月第3週の水曜日とし、視診・触診ならびにダーモスコピー観察で気になる病変を見せていただきました。
検診結果は以下の3段階で判定しました。

  • ①皮膚がんではありません。時々、色や大きさを観察しておいて下さい。
  • ②皮膚がんの可能性があります。専門の医療機関を受診して精密検査(皮膚の生検)を受けることをお勧めします。
  • ③おそらく皮膚がんです。専門の医療機関で治療を受けて下さい。

2015年11月から2019年3月までの13年間に161回の皮膚がん検診(月1回)を行いました。
受診者数は1,658人で、男性594名(35.8%)、女性1,064名(64.2%)でした。
平均年齢は52.4歳で、特に女性の高齢者が多くみられました。
判定は①は1,413名、判定②が234名、判定③が11名でした。
判定②の234名のうち、152名が当院で精密検査を行い、29名が皮膚癌でした。
最終的に1,658名の受診者から40名(2.41%)の皮膚癌を発見できました。

検診結果

皮膚がん検診で発見された悪性黒色腫
皮膚がん検診で発見された悪性黒色腫

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スタッフの紹介

部長中川 浩一(なかがわ こういち)

中川 浩一
専門領域
皮膚科/皮膚外科
専門医・認定医
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医
所属学会・資格等
日本皮膚科学会(代議員)
日本皮膚外科学会(副理事長)
日本褥瘡学会(評議員)
日本皮膚悪性腫瘍学会
日本皮膚病理組織学会
日本臨床皮膚科医会
兼 皮膚がんセンター長

副医長東田 理恵(とうだ りえ)

東田 理恵
専門領域
皮膚科
所属学会
日本皮膚科学会
日本皮膚病理組織学会
日本アレルギー学会

副医長西田 麻里奈(にしだ まりな)

西田 麻里奈
専門領域
皮膚科
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